FortniteはAppleとGoogleが築いたプラットフォームから自由になれるのか

Fortniteの販売元であるEpic Gamesが、AppleとGoogleのアップストアは独占禁止法に抵触しているとして訴えを起こしました。

Epic Gamesが勝利を収めると、他のアプリも当然Forniteに追随するでしょう。

そうなると、AppleとGoogleは半年で約5兆円に登る大きな市場の利権を奪われる事になります。

1H 2020 Mobile App Revenue

https://sensortower.com/blog/app-revenue-and-downloads-1h-2020

そんな事をAppleとGoogleが許すでしょうか。

背景と現状について簡単にまとめます。

Epic GamesとFortniteとは

Epic Gamesについて

会社情報

Epic Gamesは1991年創業です。

ゲーム会社にしては意外と老舗と思われたのではないでしょうか。

上場はしておらず、現在は所謂ユニコーン企業です。

最近ソニーを含めた複数社から2,000億円近く調達したのは記憶に新しいですね。

本社はNorth Carolinaにあります。西海岸らしい訴えですが、東海岸の会社です。

Crunchbaseによると、CEOはTim Sweeneyという方で、11歳からプログラミングを始めたと言われています。

提供しているゲーム

Epic Gamesは自社のStoreを持っており、様々なゲームを販売しています。

一番人気は今回の騒動の切っ掛けになったFortniteです。

Fortniteとは

概要

Forniteはバトルロワイヤルゲームと言われるものです。

全世界からオンラインでつながった100人近いプレイヤーが1つのマップに集まり、最後の1人になるまで戦います。

百聞は一見にしかず、Fortniteの1分程度のトレイラーを貼っておきます。

いまいち面白さが分からない、という方もいらっしゃると思います。

そこで、驚異的な統計の一部をご紹介します。

  • 2020年5月時点で、世界で3億5千万人がプレイ
  • 2018年8月には、一ヵ月の間に7830万人がプレイ
  • 2018年10月には830万人が同時接続

https://www.statista.com/statistics/746230/fortnite-players/
https://www.businessofapps.com/data/fortnite-statistics/

一ヵ月の間に日本の人口の半数以上がFortniteをプレイした月があったわけです。

登録者数を増やすのは広告で実現できると思いますが、起動したユーザー数が1億近い月があるのは驚異的ですね。

尚、ユーザーの大半は18-24歳です。

Fortnite players age and gender - Verto

https://www.businessofapps.com/data/fortnite-statistics/

AppleとGoogleの利権

消費者接点

AppleとGoogleの最大の利権は、消費者接点です。

Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share

見ての通り大半のOSはAndroid(約80%)かiOS(約20%)です。

Epic Gamesも直営のStoreを作って対抗していますが、購入時にインストールされているアプリストアが、消費者のアプリを調達するメイン経路になる事は疑いがないでしょう。

特に現在は若者を中心にモバイルしか持たない層が増えています。

https://www.comscore.com/ger/Insights/Blog/Why-Are-Millennials-So-Mobile

アプリの手数料

消費者接点を最大限に活用し、GoogleとAppleは、ストアに登録されたアプリで発生した売上に概ね30%近いFeeを課しています。

つまり売上100億円のアプリがあれば場所代として、ノーリスクで30億円貰える事になります。

モバイル初期の開拓者として30%を受け取っていた事はリスクに対するリターンとして多少納得がいきます。

しかし、ここまでモバイルが普及している状況下で、場所代を30%も取り続けているのは、正直高すぎる印象です。

今回の騒動の事の発端と論点

今回の騒動の事の発端

この手数料に不満を抱いていたEpic Gamesが、Fortniteでアプリストアを介さずにアイテムを購入する事で割引をするオプションを消費者に提供しました。

それに対して、AppleとGoogleがアプリストアからFortniteを消すという処置を取り、Fortniteを所有するEpic Gamesが独占禁止法で両社を訴えるに至りました。

今回の論点

独禁法

今回の論点はAppleとGoogleのアプリストアが独禁法に抵触するか、という点になります。

尚、Epic Games社のAppleに対する訴訟文はこちらから読めます。

パーソナル・コンピューターのマーケットでは約3%の手数料でソフトウェアを販売できるのに対し、現在のアプリストアの30%は不当だ、と強く主張しています。

この文書は用意していた可能性があるな、と感じます。

AppleとGoogleが独占禁止法に関して注目を集めるタイミングを待っていたのかもしれません。

今回の件に関するAppleの反応は以下です。

“Today, Epic Games took the unfortunate step of violating the App Store guidelines that are applied equally to every developer and designed to keep the store safe for our users. As a result their Fortnite app has been removed from the store. Epic enabled a feature in its app which was not reviewed or approved by Apple, and they did so with the express intent of violating the App Store guidelines regarding in-app payments that apply to every developer who sells digital goods or services.

Epic has had apps on the App Store for a decade, and have benefited from the App Store ecosystem – including its tools, testing, and distribution that Apple provides to all developers. Epic agreed to the App Store terms and guidelines freely and we’re glad they’ve built such a successful business on the App Store. The fact that their business interests now lead them to push for a special arrangement does not change the fact that these guidelines create a level playing field for all developers and make the store safe for all users. We will make every effort to work with Epic to resolve these violations so they can return Fortnite to the App Store.”

https://www.businessinsider.com/apple-removes-fortnite-app-store-response-epic-games-2020-8

以下、要約です。

  • Epic Gamesは故意にApp Storeを利用する全デベロッパーに適応される規約を侵害する機能を実装した。
  • Epic Gamesは規約に合意した上で、今までAppleのApp Store Ecosystemの恩恵を受け続けてきた。
  • Epic Gamesが自社の利益を優先して特別な機能を実装したが、(App Storeの)規約が全デベロッパーに平等な環境を提供し、消費者の安全を守っている事実を変えられない。
  • Epic Gamesが規約侵害をやめてFortniteがApp Storeに再び戻れるよう全力を尽くす。

Fortniteでは消費者に直接販売した商品から30%引いているので、Epic Gamesは自社の利益を優先したわけではなく、消費者のためだと主張するでしょう。

世論を味方につけるために、Epic GamesはFortniteのキャラクターを作って、Appleが1984年に放送したCM(Macintoshの販売で当時市場を支配していたIBMを消費者から解放する趣旨で作ったもの)のパロディーを作っています。

AppleとEpic Gamesどちらに共感できるでしょうか。

Duopoly

今回、独禁法の適用を難しくしている要因があります。

それがDuopolyです(2社の独占 – Mono-polyがDuo-polyになっています。)。

1社が独占している場合に比べ、独禁法の適用が難しくなります。

モバイルアプリ市場はAppleとGoogleの2社が支配しています。

2社は競争しており、独占的な力を不当に活かしていないと主張する事ができます。

但し、アプリ市場は他の参入がほぼなく、実際他の市場に比べると手数料が高いことは明らかです。

そして、世論がビッグテックの独占的な力を問題視している事は明確です。

果たしてAppleとGoogleは利権を守れるでしょうか。

今後について

三社の単純比較

会社同士で戦う場合、企業体力も重要な観点です。

恐らくEpic Gamesが直前に2,000億円調達していた事は偶然ではありません。

それなりに戦う体力があるから踏み切ったわけです。

しかし、GoogleとAppleはそれぞれ約11兆円と4兆円の現金同等資産を持っています。

そして、彼らは相当な金額を政治のLobbyingに充てています。

以下はGAFAの2019年のLobbying関連の支出です。

Google: $11.8 million, -44% from last year (約12億)
Facebook: $16.7 million, +32% (約17億)
Amazon: $16.1 million, +14%(約17億)
Apple: $7.4 million, +10%(約8億)

https://www.cnbc.com/2020/01/22/how-much-google-facebook-amazon-and-apple-spent-on-lobbying-in-2019.html

企業体力的には、ゴリアテに挑むダビデ以上に差があると言っても過言ではありません。

追随者は現れるか

ここで気になるのが追随者です。

Epic Gamesは、前掲のFortniteのキャラクターで作ったパロディーCMや、SNSのハッシュタグ活用等、今回の件の波紋が広がっていくことを狙っています。

実は、既にFacebookがこの波に乗ってApp Storeの批判を展開しています。

Facebook pushes back against Apple’s App Store fees

少し前には、RakutenとSpotifyの訴えを受けて、EUがAppleのApp Storeの調査を開始しています。

企業体力だけ見ると劣勢ですが、批判が強まれば、今回の騒動を切っ掛けにApp Store/Google Playの手数料が多少下がる可能性もあると思います。

如何だったでしょうか。

いち消費者としては、Fortniteを応援したくなるかな、という気がします。

ビッグテックに関心のある方はこちらもお勧めです。

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今回は以上です。

読んで頂き有難うございました!

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